熟練営業が持っている「鍵」は伝授できない。技術が伝わらない理由とは?

熟練のセールススキルの「鍵」は「伝授」できない。その理由とは?

若い世代の営業マンでキツイ、辛い、辞めたいと悩んでいる人方は日本に大勢いると思います。

そんな方たちに、申し訳ないと思っていたことがあります。

それは、僕ら熟練の営業マンの営業スキルの「鍵」を伝えることが難しい、出来ないということです。

 

その原因と、管理人の営業体験をお話しします。

少々、お付き合いください。

 

古典営業の熟練営業マンの「ある共通点」とは?

 

熟練営業の人たちに「高度な販売の成功法則は何ですか?」と尋ねると、ほとんどの人が自身の成功法則を具体的に答えることはできません。

それは、「一言二言で表現することが出来ない」という意味を含んでいることは理解できます。

 

しかし、高度な営業スキルを持っている人たちが、自身の成功法則を体系化できていない。とも解釈することが出来ます。

彼らは、プロフェッショナルの営業として高度なスキルでの営業シーンを実現して成約へと結び付けています。

 

彼らには、ひとつの共通点があります。それは、彼らのセールスシーンでは「多くを語っていない」という点です。

「多くを語っていない」から、「タイミング」すなわち「間」というものをとても重要視しています。

 

彼らの中には、先天的な才を持ち合わせた人も存在するのかもしれませんが、彼らの多くは、「間」を長い年月をかけて条件反射レベルまで落とし込む努力をしています。

その「間」に加えて、「直感」「閃き」といったものも条件反射のように営業シーンで使いこなしています。

 

その「間」「直感」「閃き」が伝授できない「鍵」の正体です。

 

これは、営業がきついと悩んでいる人に伝えてあげたくても、そうそう伝わるものではありませんよね。

幾多の経験値から得たスキルです。

そして、熟練営業マンたちが、自分自身でもどこで、どのように変わったのか?

どうしてそれが出来ているのか?ということをきちんと認識できていないケースがほとんどです。

当人達にとっても抽象度が高いことです。

 

僕も、伝える事が出来ないことを長年悩んでいました。

 

少しだけ、僕のセールスシーンでの日常を書かせてください。

 

条件反射?パブロフの犬?

 

僕は、セールスシーンになると、無意識に体が反応して思考が「スローモーション」になります。

思考がスローモーションというより、「まわりの時間が止まったように感じる」という表現のほうが適切かもしれません。

でも、僕の思考の中ではスローモーションになっているんです。

 

思考がスローモーションになるので、一瞬で相手の表情、感情を理解できたり、辺りの状況を見回して材料(販売にプラスになるもの)となるものを瞬時に探し出したり、

言葉の一言一言に対して思考の中でいくつもの「パターン」が出来上がり,そしてクロージング締結までのマップ瞬時に出来上がります。

 

きっと僕のホメオスタシスはそこに存在しているかもしれませんね。

 

時間にすると、おそらく数秒のことです。

ひとつの特殊能力なのかも知れませんが、職業病ですねwww

 

アドラー心理学の記事で記述した事ですが、大好きな事を夢中でやっている時間がそこにあります。だから宇宙時間(時間が無い時間)に突入してしまうのかもしれません。

いつの間にか潜在意識(無意識)に落とし込んで、営業現場では条件反射的に思考がスローモーションになってしまう。

これを、だれかにセールススキルとして「同じ事をやってくださいね!」ってなかなか言えませんよね。

少々、話しが脱線してしまったので、元に戻します。

 

重要視している「多くを語らない」 「タイミング」 「間」

 

トップセールスマンたちは、何よりも「タイミング」と言うものをとても重要視しています。

いわゆる「間」です。

 

日本語では、間が抜けている人は「間抜け」といい、また間が悪い人は「間が悪い人」といいます。

彼らは「間が抜けている」「間が悪い」と言うことはありません。

彼らは「間」がすごく良いんです。そうです「間」と「タイミング」の取り方がすごく上手なんですね。

 

そして、「本質のニーズ」への探索を常に心がけていて、それを見抜くことに長けています。

それは、相手にとっては時として「かゆいところに手が届く」のではなく「先に痒くなるところを教えてくれる」ということになります。

 

あなたが、こんな事をしてもらったらどう思いますか。

 

ひとつ例をあげます。

 

有能と呼ばれる営業は、相手がその課題を意識している状態にいるとき(購買意欲が維持されている状態)のうちに会いに行ったりします。

または電話、メールをしています。それには、必ず既成事実を付与しています。例えば「他の会社で○○という問題がでているんですが、御社は大丈夫ですか?」など。

その問題を浮上(顕在意識に浮上)させた上で、問題解決の提案をします。そうすると相手は、その提案を受け入れやすい状態にあるということです。

 

あとは、クロージングの「間」です。基本的には、「なるべく喋らない」と言うことでしょう。これにつきます。

現場経験値が少ない営業なよくあるケースは、余裕がないから「間」が怖い。

断られるから「間」を空けたくない。だから喋り続けるという事になります。全くの真逆ですね。

かたや「間」を空けるためにあえて喋らない。かたや、「間」が怖くて喋り続ける。

 

お客さまの立場からすると、どうでしょうか?

僕が客ならひたすら喋り続ける営業には、「こいつは、自分の主張ばかりで、人のこと(メリット)などサラサラ考えていない奴だな」「面倒くさい奴」「自分主眼の奴」と思って、

「チョットごめん!」といい話をぶつ切りにしてしまうかもしれません。いや、そうします。(笑)

トップ営業は話をする前に相手に許可を求める

 

セールスシーンで、こう聞かれたらどうでしょうか。

「あの、ここは詳細を説明させていただいてよろしいですか?」と。

そして、お客さんの質問をしっかりと受け止めて、その答えを的確にシンプルに伝えます。それ以外は、自分は相手が許可した時だけしか喋りません。

この場合、会話の主導権はどちらが握っていると思いますか?

会話の主導権は確実に聞き手であるセールスマンが握っています。

 

そして、クロージングで沈黙の間(数十秒でも)を維持することをしています。

「では、私と一緒にやりましょう」「僕に任せてください」といって沈黙することが平然と出来ます。それがごく素通のことなんですね。

でもこれ、売れないセールスマンに伝えると「信じられない」と言われます。

 

あっ! 僕のなかで古典営業で売れないセールスマンの定義とは、パレードの法則で言う「普通」と「無能」のことです。あしからず。。。

 

売れない営業

 

おそらく、そこまでのプロセスを理解していないから「信じられない」となるのでしょう。

そこまでのプロセスを理解していない営業が、クロージングで「沈黙」なんてことになれば、間違いなく一発ですべて玉砕しますからご注意を。

 

波乗り営業では、熟練営業マンたちが無意識レベル(潜在意識)で条件反射的に実践している「間」「タイミング」「喋らない」という事もシンプルに体系化することができました。

ご興味があれば読んでみてください。

 

 

世界レベルのトップセールマンに尋ねた事

 

「販売」への探究心は増し続けていた頃、僕はソニー損保のトップセールスマンの年収が1億円以上との情報を得てしまったんです。

俺より貰っている!と興味か何かわからないけど、何かがふつふつと湧き上がってきました。

「保険の営業だけで年収1億以上!?」その販売スキルに興味が湧いたのはいうまでもありません。

 

ちょうどそんな頃、僕の会社にプルデンシャル生命保険のセールスマンがやってきたのです。

プルデンシャルと言えば外資系のお高いイメージの保険会社です。保険に興味は無かったんですが、そのプルデンシャルの営業スキルに興味はあったので、少し話を聞いてみることにしたんです。

そもそも、プルデンシャル生命保険の営業マンとして採用されること自体が大変なことは知っていたのですが、その訪れたセールスマンがその中でどれほどのポジションに君臨しているのか。

それが気になっていました。

 

直接聞いても教えてくれそうにもなかったので、こう質問することにしたんです。

「世界規模の保険会社の表彰式ってどこで開催するんですか?」・・・と。

それから「賞金ってどれくらいですか?」と野暮なことを聞きつつ「受賞したことありますか?」と。

すると「表彰された経験がある」とようやく教えてくれました。それも数回も。

ならば「どれほどの販売スキルを持ち合わせているのか」それが気になります。

保険に全く興味が無い僕を、加入させることができるのか。と邪な考えで話を聞くことにしたんです。

 

まぁ、結論から申し上げると、実に気分よくお話しをさせていただきました。そして後日、興味の無かった生命保険に気持ちよく加入してしまいましたwww

そうなんです、「気分よくお話しをさせていただいた」ということです。

その手法(営業スキル)は、決して目新しいものではなかったのですが、とても心を打たれるものでした。

そのプロセスでは、僕の抱えるストレスは皆無でした。そのなかで度々発生する「間」。

そのほとんどは、その人が条件反射で「間」を空けているということは判断できました。

 

クロージング終了後の会話

生命保険の契約が終了した後での会話です。

「すばらしく心地よい商談でした、ありがとうございます」「○○さんは、この素晴らしい商談スキルをたくさんの若い人たちに伝える事ができますか?」と。

すると、その人が言っていた言葉が印象的でした。

「自分では気持ちを伝えて保険を販売することが出来るんですけどけど、新しく入った若い人たちに伝えることは出来ていないんです」「感覚的な部分がほとんどなので伝えることは難しいですね」「伝えられないから売れなくて辞めていく人が多いんです」と。

「その伝わらないの要因は何だと思いますか?」と尋ねると、「なんでしょうねー 経験値をからくるところが大きいですからね」と仰っていました

「間」が重要なことは認識されていましたが、自身が潜在意識レベルで活用しているということは体系化できていなかったようです。

それでも僕が「気持ちよく会話させていただいた」その結果、「興味の無かった生命保険に気持ちよく加入した」という事実があります。

体系化できていない、すなわち優秀な古典営業ということですが、それをきちんと伝えて「人を育てる」と言うことには達していませんでした。

 

そのときの僕の心の声は、これだけの販売スキルがあっても体系化できていないなんて「もったいないな」でした。

無形文化財とまでは申し上げませんが、後世に残すことってとても大切なことだと思いませんか?